| 【不動産解説ブログ】売買契約書の「特約」について知っておくべきこと | 京都の収益不動産なら株式会社エリッツ不動産販売

  • 英語
  • 中文簡体
  • 中文繁体
  • 韓国語

当社はエリッツホールディングス(東証上場)の子会社です

フリーコール0120-95-2411

【営業時間】
AM10:00~PM7:00
【定休日】
毎週水曜日
  1. HOME
  2. 不動産解説ブログ
  3. 【不動産解説ブログ】売買契約書の「特約」について知っておくべきこと

不動産解説ブログ

【不動産解説ブログ】売買契約書の「特約」について知っておくべきこと

不動産売買において、契約書は買主・売主の双方を守るための極めて重要な文書です。その中でも「特約(特別約定)」は、標準的な契約条項ではカバーしきれない個別事情に対応するために設けられるもので、取引の成否を左右するキー項目と言っても過言ではありません。

しかし、一般の売主・買主にとって「特約」は分かりにくく、また内容によっては思わぬリスクを背負ってしまうケースもあります。特に近年は中古物件の流通増加や投資用不動産の取引活発化に伴い、特約の重要性はさらに高まっています。

本記事では、売買契約書の「特約」とは何か、どのような場合に必要なのか、注意すべきポイントは何かについて、実務の視点から詳しく解説します。

■ 特約とは何か

特約(特別約定)とは、売買契約書の標準条項とは別に、個別の事情に合わせて付け加える追加の取り決めを指します。

● 特約が設けられる代表的な理由

  1. 物件固有の事情がある場合
    瑕疵(かし)、未登記部分、越境、設備の不具合など、通常条項で扱えない要素がある場合。
  2. 売主・買主の事情に応じて柔軟な取り決めが必要な場合
    引渡時期・残置物処理・賃貸借の引継ぎなど。
  3. 責任の範囲を明確化するため
    瑕疵担保(契約不適合責任)の免責・範囲の限定など。
  4. 特定のリスクに対して事前に合意しておきたい場合
    既存設備の不具合、シロアリ、雨漏り、境界問題など。

● 特約は法律よりも優先されるのか?

結論として、「強行法規」に反しない限り、特約は標準条項よりも優先されることが一般的です。
そのため、特約の記載内容は売主・買主双方にとって非常に強い拘束力を持ちます。

■ 特約を設ける際に押さえておくべき基本事項

1. 特約は具体的かつ明確であることが必須

曖昧な表現はトラブルの元になります。

悪い例:残置物は売主が処理することとする。

良い例:引渡し前日までに、売主の責任と費用負担において、建物内外の残置物(家具、家電、廃材等を含む)をすべて撤去するものとする。

このように、誰が・いつまでに・何を・どのように行うかを明示する必要があります。

2. 双方が同じ理解をしていることが重要

特約の文言を“どう捉えるか”が双方でズレると後々の紛争につながります。

例えば「設備の不具合は免責」とした場合に、

  • 給湯器の不具合は?
  • エアコンの故障は?
  • インターホンの不調は?

など、対象範囲を十分に理解しているかを確認することが大切です。

3. 説明責任(インフォームド・コンセント)が必要

売主または仲介業者は、特約の意味・結果についてしっかり説明する必要があります。
説明がないまま免責などを含む特約を締結すると、後で無効となる場合もあります。

■ 売買契約でよく使われる特約の具体例

1. 契約不適合責任(瑕疵担保)の免責特約

中古物件では非常によく使われる特約です。

:本物件の契約不適合責任について、売主は免責とする。

ただし、

  • 売主が故意に事実を隠した場合
  • 重大な説明義務違反がある場合
    には無効となるため、万能ではありません。

2. 設備の不具合に関する免責特約

中古マンションや中古戸建で頻出します。

:設備(給湯器、エアコン、照明、換気扇等)については現状有姿での引渡しとし、売主は一切の修理・交換義務を負わない。

これは買主の期待値と実際がズレやすい分野なので、現地確認と事前説明が重要です。

3. 境界標に関する特約

土地取引では必須のケースがあります。

:本件土地の境界標の現地確認について、売主は責任を負わない。

または

売主は引渡しまでに境界標を復元し、買主立会いのもと確認するものとする。

境界の有無は後々のトラブルを最も生みやすいため、特約で明確化されることが多い項目です。

4. 残置物処理に関する特約

特に居住中売却や投資用物件で多いパターンです。

:本物件内の残置物は売主が引渡しまでに撤去するものとする。
ただし、エアコン・照明・カーテンレール等は買主の希望により残置とする。

逆に

残置物はすべて買主が引き受ける。

という特約もありますが、トラブルを生みやすいため慎重な検討が必要です。

5. 引渡し猶予(リースバック)に関する特約

売主が引渡し後も一定期間住み続けたい場合によく使われます。

:引渡し後1ヶ月間、売主は買主に対して月額○万円で占有を継続することができる。

賃料・原状回復・期間などを明確にしておかないと紛争の原因になります。

6. 賃貸借契約の引継ぎ(オーナーチェンジ)特約

投資用物件では必須。

:本物件は賃貸借契約を承継するものとし、買主は引渡日以降、貸主としての権利義務を承継する。

家賃滞納、敷金の扱い、原状回復の負担範囲などの確認が重要です。

■ 特約を巡るトラブル事例と注意点

● 1. 免責の範囲が不明確だったケース

「設備は現状有姿で引渡し」としたが、給湯器が壊れていたことが発覚。
買主は「給湯器は設備に含まれないと思った」と主張し、紛争に発展。

→ 免責範囲を明確に書いておくべきだった例。

● 2. 売主が事実を隠して免責にしたケース

雨漏りの事実を知りながら「瑕疵免責」としたが、後に雨漏りが発覚。
裁判では免責が認められず売主負担となった。

→ 故意・告知義務違反には免責は適用されない。

● 3. 境界未確認のまま取引し、後で越境が発覚

売買後、隣地との塀が越境していると判明。
特約で境界を売主が保証しないとされていたが、買主はトラブル対応を強いられた。

→ 境界の扱いは慎重に。測量を推奨。

● 4. 残置物の範囲が誤解されていたケース

売主は「小物程度」と思っていたが、買主は「すべて撤去」と認識していた。

→ 遺品・大型家具などは特約で個別記載するのが望ましい。

■ トラブルを防ぐための「特約」作成ポイント

1. 対象物・範囲を具体的に書く

「設備」など曖昧な言葉ではなく

  • 給湯器
  • ビルトインコンロ
  • 浴室乾燥機
  • インターホン
    など具体的に記載する。

2. 期間を明記する

作業期限・責任期間・引渡猶予などは日付で明示する。

3. 費用負担者を明確にする

特に測量・残置物撤去・修繕などは誰の費用なのかが重要。

4. 標準条項を上書きする場合は慎重に

標準条項より厳しい・緩い内容にする場合は、双方の理解が必須。

5. 専門家のチェックを受ける

不動産会社、司法書士、弁護士などのサポートがトラブル防止につながります。

■ まとめ:特約は「双方を守るためのもの」理解しないまま署名は危険

売買契約書の特約は、

  • 標準条項で対応できない部分を補う
  • トラブルを予防する
  • 両者の責任範囲を明確にする
    ための重要な取り決めです。

しかし、曖昧な特約・理解が不十分な特約は、むしろトラブルの火種になります。

特約を結ぶ際は、内容を正確に理解し、必要であれば専門家に確認することが必須です。

「難しいから不動産会社に任せればいい」と思う方も少なくありませんが、契約にサインするのは売主・買主自身です。契約後の生活に影響する非常に重要な項目ですので、しっかり理解した上で取引に臨むことが、納得のいく不動産購入・売却につながります。